サンダー・アンド・ライトニング/シン・リジィ (1983年)
シン・リジィのラストアルバム。
シン・リジィというバンドはハードロックらしくないという印象を持っている。
というのは、アイリッシュという民族性が音に透けて見えるため、メッセージ性が強く、ストレートな力強さを感じにくいのがその理由かもしれない。あるいはメディアがそういう紹介の仕方をしているからかも知れないのだが。
とはいえそういった民族的・民謡的な独特の旋律が彼らの持ち味であり、そこを好きになれるかどうかがこのバンドに対する評価の分かれ目になるのだろう。ハードロックらしくないとは書いたが、僕はこのバンドがとても好きだ。(最初に聞いた高校生くらいのときは好きになれなかったが・・)流麗なツインリードが奏でるメロディはアイリッシュの哀愁という感じがするし、哀愁と土着的なロックンロールが一体となったサウンドは独特のノリを持っており、他に類を見ない個性を持っている。シン・リジィは唯一無二のバンドなのだ。
そんな彼らが、解散を決めた後に激しく燃え尽きるためにつくったのがこの「サンダー・アンド・ライトニング」だ。
当時の新星ギタリスト、ジョン・サイクスを筆頭に、メンバー全員が若返ったかのような激しい演奏を見せる。
冒頭を飾るタイトルトラック「サンダー・アンド・ライトニング」は怒涛のごとく突進するヘヴィ・ドライヴィンな曲。凄まじいまでの勢いを持った曲だが、にもかかわらず軽快かつ豪快に飛ばすロックナンバーだ。このかっこよさは相当のものがある。5曲目の「コールド・スウェット」はジョン・サイクスが何気なく弾いたリフを曲に仕上げていったものだそうだ。轟く雷のようなギターリフが聞ける。
後半には哀愁とスピードが高次元で融合した素晴らしい曲が所狭しと並んでいる。この流れは圧巻だ。リジィの持ち味である民族的なアイリッシュの泣きの旋律が、現代的なヘヴィ・メタルのスピードを得てこれでもかというぐらいに胸をかきむしる鮮烈なドラマを描き出す。あまりにも胸を打つ旋律が連発されるので、逆にとにかくカッコイイ、という単純な言葉しか思い浮かびません。また、そんな後半においていかにもリジィらしい軽快な「バッド・ハビット」は良いアクセントになって後半を締めている。
全編にわたって、ジョン・サイクスの高速弾きまくりの泣きのギタとダーレン・ワートンのこれまた弾きまくりのキーボードのバトルが繰り広げられている。このテンションの高さは凄まじい。フィル・ライノットのヴォーカルも、特に「サンダー・アンド・ライトニング」に関してはモーターヘッドばりにガナっており、今までにない凄みを帯びている。
唯一の欠点はCD音質が軽いことか。(ただそれもヘッドフォンや大音量で聞けば関係ないのだが)アルバムの内容自体は文句ナシに格好いい、ハードロック/ヘヴィメタル(どっちでもいいのだが。。)の大名盤である。
日の沈む頃には、3曲めの「夕暮れにて」を聞いてみて頂きたい。その日の戦いの終わった戦場にたたずみ、明日からのさらなる戦いの日々に決然としてたたずむ戦士のような心持ちがしてくることだろう。
(仕事の帰りに聞いたからかも知れません)
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