メタル・ハート / アクセプト(1985年)
ジャーマンメタルというジャンルがある。
ジャーマンというとドイツの、という意味だが、この場合はドイツ出身のバンド「ハロウィン」が源流となった、メロディに重点を置いた、スピードの速いメタルの総称である。この場合、ハロウィンを初めとするドイツ産のバンドがその源流となった事実が拡大され、その音楽形態を表現する言葉に転じているものであり、ドイツ産のメタルという意味ではない。
ハロウィンが登場したのは80年代の後期だが、ならそれまでのドイツのメタルはどうだったのか?もちろん、数多くのハードロック・メタルバンドが存在していた。ただし、イギリスやアメリカに比べ、あまりメジャーではなかった。唯一の例外はスコーピオンズだったが、「ドイツ」的なイメージや雰囲気を前面に出すのではなく、比較的、ポップな大衆的な音楽性に変化していったことが世界的なロックバンドとしてアメリカで大成功した理由であり、「ドイツ」というドメスティックな特徴が必要な要素ではなかった。
では、最も「ドイツ」らしい「ヘヴィメタル」とはどのような音楽なのか?
その答えがアクセプトというバンドだ。
アクセプトはちょうどスコーピオンズとハロウィンの間の世代に位置し、スコーピオンズのようにメジャーな音を指向するのでもなく、またハロウィン以降のバンドのように先鋭化する世代でもなく、メタルが徐々に進化していくなかでその個性を磨いていった。
この作品はアクセプト随一の名盤と誉れ高い。その理由は曲の良さ、この作品で完成を見たアクセプト流のメタルサウンド、そして大衆性と芸術性、聴きやすくしかもドスの聴いた作品で、アルバムを構成する様々な要素が全てハイレベルに達しているという点にある。
まあ、一言でいえば良い曲が詰まっており、音もメタルとして迫力があり、聞き応え満点ですよということなのだが。
アクセプトは何が聴きどころかといえば、やはりドイツらしいいかめしいメロディやフレーズ、重々しい音作りなどが挙げられるが、重さいかめしさと麗しいようなギターソロなどに見られるメロディの対比だろう。いかめしさは国民性か、そして、艶やかな旋律はドイツ民謡の哀愁の旋律に由来するような気がする。
オープニングを飾るタイトル曲「メタル・ハート」はいかめしく、アクセプトのドイツ代表というイメージにぴったりくる。ギターソロには「エリーゼのために」のメロディが引用されておりリスナーを引き込む。ただし、この曲以降は比較的キャッチーな曲が続く。2曲めの「ミッドナイト・ムーヴァー」は歯切れのいいスピードチューン。ハードなリフとカラッとしたメロディがとても聴きやすいが、このアルバム中では1、2を争う名曲。キャッチーな曲調は5曲目の「スクリーミング・フォー・ア・ラヴバイト」で頂点に達する。
ラストを締める「バウンド・トゥ・フェイル」は壮大なアンセム的な曲。高らかに鳴り響くギターソロが素晴らしいこれも名曲。冒頭の「メタル・ハート」と合わせ、アクセプトの雄々しさの真骨頂であろう。ちなみにアクセプトのステージ衣装は軍服をベースにしたものであり、軍隊調の鋭いパフォーマンスが話題を呼んだ。サウンドも、ヴィジュアル面でも徹底した追求を見せていたのである。
ドイツといえばハロウィン以降のジャーマン・メタルしか知らない人も、それ以前にオーソドックスなメタルとして、素晴らしいバンドが名盤を残していることをぜひ知って頂きたいと思う。
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